ことの発端は2006/11/14(火)だった。
仕事中に見慣れない電話番号からの電話があった。
「NGKの姉なんですが、最近弟がトラブルに巻き込まれたりしてませんでしたか?」
とのNGKのお姉さんからの電話だった。
そのとき私は あの野郎また何かやらかして家族に心配かけてんのか?仕方のないやつめ などと思いつつ
「いえ特にそんな様子もありませんでしたよ」
と、まあ実際そんな様子は欠片も見られなかったので、普通に返答した。
その後もいくらか会話があり、そして決定的な一言に達した。
「実は・・・弟亡くなったんですよ・・・」
え!?
いやちょっと待て。死んだ??
土曜も日曜も会っているし、晩飯だって一緒に食べた。死を感じさせる要素など何一つなかったはずだ。
どうにも状況が把握できないが、先方もまだ混乱している様子なので、電話は一先ず終了。
やりかけの仕事に速攻カタをつけて、すぐに地元へ向かう。
電車の中で色々と考えてみるが、情報が少ないこともあって全く考えがまとまらない。
ちなみにこの時点では自殺というのは全く頭になかった。
それほどまでに土日の彼は自然体であったし、先週、先々週の様子を思い起こしても、引っかかるようなことは何も出てこない。
地元の駅に着いたところで、こちらから電話をかけてみる。
ちょうど火葬場の予約がとれて明日の朝早くから納骨となってしまうとのことなので、今から向かうよう話をつける。
移動がてら手近な友人達に連絡を入れ、Snakeとかたくりこさんを捕獲。私の家に集合ということにして、一旦帰宅する。
家にいる間にお姉さんから再度電話。
できれば友達と一緒に来てください。というより一人では来ないほうがいいです的な言い回し。
このときは何のことか全く理解できていなかったが、幸い既に友人を確保していたので深くも考えず、これから一緒に向かう旨を伝える。
Snake達と合流し、安置所へ向かう。
やはり予想通りというかSnakeの方でも、思い当たるようなことは何もないらしい。
道すがら経緯を聞かれるも、そもそも私自身がわけが分からん状態であるからして、どうにも説明が難しい。
あとは前述のような電話があったので、もしかしたら事故等で損傷が激しいのかも?というようなことは話した。
安置所はプレハブのような微妙な建物で、着いたときには場所間違えたかと思うようなところだった。
後になって聞いた話では、どうもこのような特殊なケースでの遺体を預かるところらしい。
その安置所にNGKはいた。
心配していた損傷等は杞憂で、パッと見では寝てるのと区別つかないくらいだ。
そんな状態なのに、今後こいつとバカ言い合ったりできないなどとは俄かに信じられない。
遺体を見たのに、というより遺体を見たからこそ現実味がない・・・そんな感じ。
死因等についてはSnakeが質問してくれたこともあって、大体のところは分かった。
自殺であること。縊死であること。自室ではなく外であったこと。事件性が皆無で司法解剖されていないこと。荷物は財布と携帯と恐らく現場に入るのに使用したであろう懐中電灯くらいであったこと。遺書などはなかったこと・・・
まあ確かに現象というか経緯は理解できた。
だが自殺だったということで、死に至った原因は更によく分からなくなった。
なぜなら誰もが訃報を聞いた段階で心当たりがなかったのだから・・・外的な要因ならともかく自らとなると全く理由が分からなかった。
あとはもう呆然とし、泣き・・・そうする他なかった。
一人では来ない方がいいと言っていたのは、こういうことだったのか。
一人だったら抱え込んで、答えのない自問に押しつぶされていたかもしれない。
これについては実はお姉さんも過去に友人を自殺で失っており、そのときも前日まで普通に会話したり、メールのやり取りをしたりと、全く兆候がなかったそうで、その経験からの一言であったそうだ。
その後、翌日の火葬にも参加する旨を伝えて、その日は撤退する。
全てが急な話で、連絡系統がほんの少し機能しなかっただけで、この場に立ち会うことはできなかったわけで。そう考えると不幸中の幸いだった。
さてこうなると是が非でも火葬までに捕まえておきたい人物がいる。その人物とは よしき龍馬。
私たちの交友関係は、大部分がゲーセンで知り合った人間で構成されているが、NGKとよしき龍馬そして私は小、中学生のころからの腐れ縁である。
何としても参加させたいのだが、どうにも連絡がつかない。
MSNメッセンジャーではオンラインとなっているで、PCは動いてるようなのだが、返事はない。
まあ私もSnakeもすぐに寝る気にもなれなかったので、会話しつつ返事を待つ。
・・・
3時半頃やっとのことで連絡がつき、経緯を手早く説明する。
いやまあ口で説明されてすぐに実感がわくとは思えないけど・・・そこは我慢してもらおう。
明けて15日(水)(安置所出たときに既に日付は変わってましたが・・・)
火葬のため市内の斎場へ向かう。よしきは流石にギリギリで連絡したので、少々準備に手間取ったけどな。
急な話でほぼ密葬であったため、お経をあげたりなどは一切なく、ただ焼くだけ。
棺の中のNGKに最期の別れをする。やはりどことなく現実味を感じない。ホントにコイツは死んでるんであろうか?・・・自分の周りに何かフィルターがかかっているような、そんな乖離感がある。
遺体は焼却炉に運ばれ、私たちは控え室に移動。
ご家族の方々も昨日に比べれば多少回復しており、NGKの最近の様子や昔話などをポツリポツリとした。
そうこうしているうちに焼却終了したらしく、お骨と対面。
・・・
これでもう精神的にも物理的にもNGKをなしていたものは、失われてしまったわけだ。
斎場にいたのはここまでである。
これほど駆け足で葬儀の類を行ったことは過去ない。今後もないことを祈りたいところ。
全員喪服であったこともあり、一度着替えてからよしき宅に再集合>メシという感じの流れになったが、帰宅後に再度お姉さんから電話があり、これからNGKの部屋を検めるのでよければ参加してほしいとのこと。
元々は不動産屋が水曜休みと聞いていたので、部屋の検分は明日の予定だったが連絡がついたようだ。
早速他2名に連絡をとり、参加する。
部屋は先にご家族の方々が掃除されていたこともあり、かなり片付いていた。
とはいっても物量自体は相当なもので、生前に廃棄等は行っていなかったようだ。
そんなこんなで形見分けできそうなものを漁る。
何せ一般の人には価値判断ができないないものばかり(ゲーム、CD、本、同人誌、フィギュア等)なので、片っ端から検分、判断、振り分けの繰り返し。
作業中の会話で判明したのだが、ダンボールへの詰め込みや書籍の縛りなどは、ご家族が到着したときには既に行われていたらしい。
??
このことは実のところかなり不可思議なのだが、このときは余裕もなくて、とりあえず心のどっかに棚上げしておいた。
結局ここでも遺書に類するものは見つからなかった。
一時的に形見分け品をよしきの部屋に置くことにして、予定通りメシタイム。
このような状況でのメシは、浮き沈みが烈しくなりがちなので、気持ちの切り替えが重要である。
できれば二度と経験しないでおきたい。
さてメシ後はよしき宅で、形見分け品の整理を行う。
とにかく分類もへったくりもなく箱詰めされているため、一時整理をしておくに越したことはない。
んで整理中気付いたのだが、とにかく物の欠損が目立つ。
曲がりなりにも持ち出す段階では、大きな仕分けはして持ち帰っているにも関らず、そこに当然含まれているであろう物(私たちがNGKの持ち物として認識していたもの)がないのである。
彼の部屋がご家族到着前に、ある程度整理していたことも含め、冷静に考え直すとオカシイ点が幾つかある。
・部屋を検める前に荷物の整理されていたこと。
NGKの死は遺留品から家族の方へ直接連絡いっていたことと、コトが起きてからの経過時間を考えても、大家等が何か行動を起こすには余りにも早すぎる。
・部屋に花が置かれていたこと。
上記理由と「誰が?」。
・NGKの持ち物が欠損していること。
母親の話では、衣類も多くなくなっているとのこと。
また職場から聞かれていた彼の制服に関しても、見つけることはできなかった。
etc
しっくりこないことが多い。自殺の動機が誰も分からないこともあり、何かもう疑問だらけになりつつある。
ちょうどそんなときにお姉さんより電話で、PCの中を確認していなかったので、そちらの確認をお願いしたいとのこと。
こちらの疑問を聞いてもらう&再度部屋で失われた物を探すという一石二鳥な申し出なので、一も二もなく同意する。
んで16日(木)
私は仕事に行かなければならなかったので、何時も通りの時間に出勤。
昨日の形見分けの運搬により全身筋肉痛だ・・・めっちゃナマってるなぁ。
14時頃によしきから向こうの方が町田に着いたとの連絡を受ける。
ここまでにやることを済ましておいた私も、速攻帰還モード発動。
よしきの部屋にはSnakeとあちらのお母さんとお姉さんが来ていた。
私が到着する前に粗方情報交換が済んでいたようで、昨日抱えていた疑問も大部分解決できた。
そんなわけでNGKの部屋検分2日目。
早速PCの電源を入れる・・・前もってフォーマット等の初期化処理を行ってはいなかったようで、普通にOSが立ち上がる。
全体に探りを入れるが遺書らしいものは見当たらない。
まあここに至るや、そのようなものがあるとは全く期待していなかったが、ちと寂しいのも確か。
念のためテキストファイルを全て出してみるが、ゲームのreadme関係ばっかりだ。
ゴミ箱の中には、同人系のウェブページへのURL集が捨てられていた。11月10日の17時くらいだった。
11月中にアクセスのあったファイルを参照すると、音楽関係やゲームや画像閲覧など・・・普段と全然変わらない行動パターンだったようだ。
PCをいじっている最中もご家族の方とポツポツと話をし、よしきの部屋で得た情報もあり、状況も大分想像できる範囲に落とし込めてきた。
一番大きな問題は、11月10日時点でNGKが宿無し状態になっていたということだ。
そもそもは11月からアパートのオーナが変わるらしく契約更新が必要であったとのこと。
まあ契約更新なので、ある程度のまとまった金が必要となるなるのだが、どうもその工面ができてなかったようだ。
また過去にも数度家賃滞納があり、彼の給与体系が週払いなこともあり、分割しての払いも多かったようだ。
実はNGKはよしきの隣の部屋に住んでいたときも、家賃滞納により結局そこを追われることになっているだが、このときは支払いの滞りが保証人である彼の家族に連絡されていた。
だが今回は運悪くというか、保証人である母親が転居してしており連絡がつかなかったようだ。
NGKもそれをいいことに、両親は行方不明で兄弟の連絡先は分からないなどと大嘘ぶっこいていたらしい。
このことが事態を最悪な結果に導いたと言えなくもない。
そして問題を先延ばしにした挙句、11月5日には部屋のものを差し押さえられていたとのこと。
もうここまで至れば何らかの手を打てばよいものの(それすら放棄したのかどうかは知らないが)結局11月10日には既に追い出されることは確定しており、大事なものがあればそれはオーナの方で保管するとの状況に陥った。
んで10日19時より、その話をする予定であったが、NGKは逃げ出してしまった。
PCのゴミ箱の中身より、17時くらいまでは部屋にいたことは判明しているので、ホントに逃げたんだろうな・・・
同じく17時くらいに会社へ月曜休むとの連絡を入れていたらしく、もうこの時点で諦めてしまっていたのかも知れない。
そして土曜の夜に普段と変わらぬ様子でアゼクーラに現れ、いつもどおりに銀眼さんのトコへ行き、日曜の夜にまた何食わぬ顔してアゼクーラに現れ、私と晩飯を食い、ご丁寧にアイツのアパートの前で別れた。
私にとっては、これが彼との最期の接触となってしまった。
・・・
今となってはアイツがどんな思いで週末を過ごしていたかは分からない。
ホントに金曜の時点で決意してしまっていたかも分からない。
何もかも分からないことだらけで、そしてその疑問をアイツに聞くことも叶わない。
・・・
分からないことは多いが、言いたいことも多い。
何よりも、何でこんな状態になってまで、誰にも相談してねぇんだよっ!ってことだ。
そもそも土日だけで何人の友達と接触してんだよ?その全員が普段と全然変わらなかったって思ってるのはどうなんよ!?
上っ面だけで付き合ってたとでもいうんか??
大体オレなんかもう20年の付き合いだよ?
今更体面とか言い出しづらいとかないだろうよ!?
日曜にメシ食ってるときでも、別れ際でも、いくらでも切り出す機会はあったろうに・・・
あと友達にまでウソつくんじゃねーよ!
オマエ前にオレから金借りたとき、親の借金がどうのって言ってたじゃねーか。
貯金で大体はどうにかなったけど、あとちょっと足らないから貸してくれって。
結局滞納してた家賃にあてられてたみたいだが、別に家賃払えないから金貸してって言ったって普通に貸したっつーのっ!!
その返済が何年後になろうが、結局返さなくたって大して気にねぇよ。
それよりも最初の言い分がウソだったことの方が、よっぽどショックでかいよ。
あんときオマエも貯金するようになったんか・・・成長したなぁ。なんて思ったオレがバカみたいじゃん。
正直に言ってくれれば、今回のことだって行くとこまで行く前に気付いてやれたかもしれないのによぉ・・・
日曜の別れ際も、何もまだ部屋ありますみたいな行動しなくてもいいじゃねーか。
あんときに住処がないことが分かってれば、いくらでも手は打てたよ。
みず氏のとこに転がりこんでたときのことを気にしてたのかもしれないが、そんなのどうだっていいじゃん。
オレんとこは家族がいるから気になるかも知れないけど、銀眼さんのとこなんか週の2日居座ってんだから、別にいいべ。
帰り道でメルティ貸してってオレが言ったときも、貸してて手元にないみたいなこと言ってたけど、それもウソじゃん!
それと生活に困ってんなら、それらしい行動しろよっ!
別にSnakeみたいに、金ねぇからメシおごれとか、普通に言えばいいじゃん。
欲しいもん片っ端から買ってる場合じゃねぇだろっ!
よしきの隣>みず氏んとこ居候>今回のアパートと転々としてる間に、何一つ学習しなかったとでも言うんか?
オマエは皆に迷惑かけられないと思ってこんなことしたのかも知れないが、こんな幕切れされるのが一番迷惑なんだよっ!!
そんなにして一体何を取り繕おうとしたわけ?
オマエもオレも所詮一人の人間だよ?
良いトコも悪いトコも、誇れるトコも恥ずかしいトコも普通に持ち合わせてるわけで、表面だけ小奇麗に見せかけたって意味ないだろ?
大体そんな見せ掛けが必要な間柄じゃないだろ?
もう腐れ縁すぎて、お互いマイナス面だって把握してんだからさあ。
あーもう。書いてて段々腹立ってきた。
オレはあの世も幽霊も輪廻転生も全く信じてないから、もうオマエに干渉する術はないけどな。
・・・でもやっぱり、こんなの寂しすぎるじゃないか・・・
---
とまあ、当時連絡できなかった人達への説明や、自分自身の備忘録も兼ねて長々と綴ってみました。
願わくは、こんな思いを二度しなくてすむように・・・。
最後に、残された人達へ
やばくなったら相談しろよ。
あと希望が見出せなくなったら、先のことは一切考えるな。
直面している一番やばいことだけに集中しろ。
やばいこと一個ぐらいだったら、協力すればどうにでもなるから。